過去の市民講演会

東北・北海道支部 だより(2023年度市民講演会)

  東北・北海道支部 令和5年度市民講演会が、2023年11月25日(土)に東北大学片平キャンパス片平北門会館2階エスパスとオンラインのハイブリッドで開催されました。今回は、「量子コンピューターとは?」と題して、量子コンピュータの中(仕組み)と外(使い方)に関して、それぞれについてご専門に研究されている講師をお招きしました。市民講演会は、主として低温工学や超伝導研究に関する活動を一般に知ってもらう趣旨で開催していましたが、支部としては2019年に秋田で開催してから4年ぶりの開催となりました。コロナ前は現地開催で実施していましたが、オンライン配信が普及したこともあり今回はハイブリッド開催としました。全国的には、メールによるアナウンスのほか、仙台市地下鉄のすべての駅にポスター掲示とビラの配布、関連ウェブサイトへの案内掲示、やSNSを通じた配信などを行うことで、申し込み件数はオンライン165件、現地参加56件、合計221件となり、会場の席数制限から現地参加申込を途中で締め切ることになりました。最終的な参加者は155人(オンライン110名、現地45名)で、過去に例をみない盛況となりました。テーマが最近話題のトピックスということに加え、SNSやポスターなどの宣伝が功を奏したものと考えられます。
  大関先生は、「量子ソリューション拠点から社会実装の現場へ」と題して、コンピュータの原理からはじまり、量子コンピュータの種類として量子ゲート方式と量子アニーリング方式の違いについて説明されたあと、主にすでに活用されている量子アニーリング方式の活用について講義を頂きました。大関先生が関係している最近の応用として量子DXの例を紹介し、最適化問題における量子アニーリングの有効性など説明いただきました。また、ソフトな利用法としてモザイクアートの作成も最適化問題として捉えることが可能ということで具体例も見せて頂きました。大関先生の講演はオンラインで行われましたが、講演中に来た質問や発言に対してリアルタイムに返答するなど、チャットなどを活用したインタラクティブな講演でした。
  山下先生は、「”超伝導”現象を使った量子コンピュータ入門」と題して、コンピュータの原理から、主に超伝導を利用した量子コンピュータの仕組みと現状について講演を頂きました。エネルギー・温度・振動が実は同じものであり、これらを古典的に捉えた場合から量子的な考え方への展開を通して量子ビットの説明をされ、超伝導を用いた量子ビットの現状や極低温の説明を行いました。レーザーポインターやバネを使った実演を行いながらの説明で、イメージしやすい講演でした。
  お二方とも、難しい量子力学を基礎とした量子コンピュータについてやさしくご説明頂き、聴衆から多くの質問があり丁寧にお答え頂きました。時間不足で返答ができなかった質問に関しては後ほど返答頂き、後日申込頂いた方に配信する形で対応を頂きました。
  アンケートの結果、市民講演会を知った方法は、地下鉄駅のポスターが35%と最も多く、次いで東北大広報サイト(Podcastやwebサイト)が26%でした。コメントも多数寄せられ、そのほとんどが高い評価でした。一方で、「時間が足りなかった」、「もっと聞きたかった」とのご要望も頂きました。また、「量子コンピュータに関する理解が深まった」や、「このような講演会をもっと開催して欲しい」などのご意見も頂きました。最後に、講演を頂いた大関先生、山下先生初め、お手伝い頂いた関係者に感謝します。

(東北大 淡路 智)


2023年度 市民講演会のご案内

テーマ
量子コンピュータとは?
「量子コンピュータ」が新聞やSNS等のメディアで聞くようになりました。「なんか難しそう」「量子ってなんだろ?」「どんなメリットがあるの?」「仕事が奪われないのかな」などいろいろな考えがあると思います。今回は、量子コンピュータの専門家お二人をお招きして「量子コンピュータ」の中(仕組み)と外(使い方)についてやさしく解説頂きます。ちょっとでも興味があればご参加ください。なにか得るものがあるはずです。
主 催
低温工学・超電導学会東北北海道支部
協 賛
東北大学金属材料研究所
日 時
2023年11月25日(土)13時30分〜15時頃
会 場
次 第  
13:30
開会、主催者挨拶
低温工学・超電導学会東北北海道支部支部長 津田 理(東北大学教授)
13:35
14:15
   
講演 1「量子ソリューション拠点から社会実装の現場へ」
講師:東北大学大学院情報科学研究科 大関 真之 教授
14:15
14:55
   
講演 2「"超伝導”現象を使った量子コンピュータ入門」
講師:東北大学大学院工学研究科 山下 太郎 教授
参加費
無料
申込先
下記のフォームからお申し込みください。
定員に達したため、対面参加の受付を終了しました。オンライン参加は引き続き申し込み可能です。
https://docs.google.com/forms/d/1IE2HODfe9ENiTFD4dH7GhCxFZ9P0JWIpGYTHy-eqac8/edit
問合先
東北大学金属材料研究所 淡路 智
電話:022-215-2151
e-mail:awaji [@] tohoku.ac.jp

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