過去の市民講演会

東北・北海道支部 だより(2014年度市民講演会)

 2014年度東北・北海道支部市民講演会が2014年11月15(土)13時20分からせんだいメディアテーク・スタジオシアターにおいて開催されました。市民講演会は超伝導や低温に関する話題を一般市民に提供し、低温工学・超伝導技術の啓蒙活動を行うべく毎年1回開催されているものです。今年の講演会は、「超伝導で脳を診る」と題して、東北大学大学院医学研究科てんかん学分野教授の中里信和先生に超伝導の医療応用をテーマに講演して頂きました。東北大学病院は大学病院では全国初となる「てんかん科」を設置した病院であり、中里先生はその科長に就任されています。講演で先生はまず、「てんかん」の発作についてビデオ映像を交えなが詳しく解説され、我々がてんかんの発作としてイメージする前身がけいれんするような発作(大発作)以外にも、けいれんの伴わないほんの数秒間だけの発作があることに驚かされました。このような小さな発作はてんかんの症状として医師でも知らない人が多いとのことでした。また先生は、てんかんは単なる脳の病気であり、適切に治療さえすれば多くの場合治ること、そしてそのためには脳のどの部分が原因の発作なのかを特定するために脳磁図の測定が重要であることを説明されました。脳磁図の測定は開頭して電極を埋め込んだりする必要がなく、脳磁図で部位を特定することで手術時の患者さんの負担も少なくなるとのことでした。しかしながら、脳内の神経活動電流によって発生する磁場は極めて微弱であり、地磁気よりも9桁程度小さい磁場を検出する必要があります。そのため、検出器としてSQUID素子が必要不可欠であり、脳磁計の開発初期は東北大学理学部の大塚泰一郎先生からSQUIDや低温に関連するする技術を学んだことなどを話されました。また、開発当初はノイズ低減のために毎晩深夜に測定していたことや、最新の306ch脳磁計に至るまで超伝導技術の発展が医療を通して身近に役立っていることをわかりやすく説明して頂きました。なお当日は肌寒い天候にもかかわらず、学生や一般市民の方など38名の参加がありました。


講演する中里教授

(東北大 高橋弘紀)


2014年度 市民講演会のご案内

超伝導を使って人間の脳を診断することができます。今年の市民講演は、その分野の第一人者である東北大医学部の中里先生に講演をお願いしました。参加は自由ですので、皆様お気軽にご参加ください。

テーマ
超伝導の医療応用
日 時
平成26年11月15日(土)13:20 〜 14:30
会 場
せんだいメディアテーク スタジオシアター(仙台市青葉区春日町2-1)
URL
参加費
無料
プログラム
 
13:20
13:30
 
開会挨拶
支部長 中島健介(山形大学)
 
13:30
14:30
 
講演「超伝導で脳を診る」
東北大学大学院医学研究科てんかん学分野  教授 中里信和
         
ー 講演の主旨 ー
 超微弱な磁場を検出できる超伝導素子SQUIDは、いろいろな分野で利用されるようになった。本講演では、医療応用に着目して最近のてんかん治療に、SQUID素子がどのように利用されているかを紹介するとともに、今後の可能性について考える。
問い合わせ
東北大学金属材料研究所 渡辺和雄
(Tel:022-215-2150, Fax:022-215-2149, e-mail:kwata[@]imr.tohoku.ac.jp)
ポスターはこちら(Large 10.6MB, small 3.4MB)