東北・北海道支部 だより(10周年記念事業)

 低温工学協会東北・北海道支部(通称・北支部)は、平成17年で支部設立から10周年となりました。この節目の年を迎えたことを記念して、2005年11月4日、10周年記念事業が東北大学金属材料研究に於いて開催されました。記念事業は特別講演会と記念祝賀会とで構成され、講演会には支部会員を始めとして63名の参加者があり、参加者全員に「低温工学北支部の歩み」、「低温若手セミナー資料集 I、II」の3冊の資料が配付されました。「北支部の歩み」には北支部発足の由来やそこから現在に至るまで北支部の維持発展にご尽力された先生方からの寄稿やこれまでの活動報告が全て纏められたものです。また、「セミナー資料集」は北支部が若手研究者のために設立以来毎年開催してきたサマーセミナーの資料を10年分全て纏めたものである。2冊合わせると電話帳ほどの分量となるが、これまで参加したことがなかった方々にとっても、今後の研究において貴重な資料となることでしょう。

 講演会では、物質材料研究機構の立木昌先生と東北電力・研究開発センター所長の森下和夫氏による講演が行われました。立木先生は「室温超伝導の可能性と高温超伝導体を用いたテラヘルツ電磁波の発振」と題して、最近の超伝導応用と室温超伝導という夢のあるお話をして頂きました。高温超伝導の結晶構造に由来したジョセフソン層状接合を用いたテラヘルツ電磁波発振のメカニズムと最近の実験結果について説明して下さった後、室温超伝導について先生がお考えになっている超伝導機構と今後の可能性について熱心にご講演して下さいました。また、森下氏の「無電化地域に電気を-東北電力の取り組み-」と題する講演では,開発途上国での無電化の現状と、それらを少しでも解消するために行っている東北電力の取り組みについて説明がありました。特にベトナムに建設した太陽光発電と風力発電を組み合わせたハイブリッド発電システムについて、現地の写真を多数用いながら現状や問題点等についてお話しがありました。

 講演会に引き続き開催された記念祝賀会には、北支部の役員を中心に38名の参加がありました。山藤会長、新富学会長の祝辞の後、穴山先生(東北大学名誉教授)の音頭で乾杯し、和やかな雰囲気で祝賀会が始まりした。また、関西支部の畑先生や九州・西日本支部長の松下先生や関西支部の畑先生をはじめ、遠路お祝いに駆けつけて下さった先生方にご挨拶を頂きました。祝賀会の2時間はあっという間に過ぎましたが、北支部設立当時からご尽力なされた先生方には、これまでの10年間を振り返るには短すぎたのではないでしょうか。