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2020年度 東北・北海道支部研究会 第1回材料研究会合同研究会  (東北・北海道支部だより)

 2020年度東北・北海道支部/第1回材料研究会合同研究会が2020年9月17日(木)に開催された。本合同研究会は当初米沢市小野川温泉での開催を予定していたが,新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し,急遽 Web 会議システム(Zoom)での開催に変更した。今年度は,NMR 計測研究者とマグネット開発研究者の交流を第一の目的として,「NMRシステムと関連材料」 をテーマに計 7 件の講演をしていただいた。参加者は聴講者,講演者合わせて46名であった。

 藤代支部長の挨拶の後,高知大学の山田和彦氏に「固体核磁気共鳴(NMR)法の現状と最新動向」 と題して,四極子核の計測に有効な磁場掃引法についてご紹介していただいた。続いて理化学研究所の高橋雅人氏より,「高温超伝導技術のNMRへの応用 ~何が難しいのか~」 と題して,高周波信号検出に高温超伝導を利用する難しさと,感度向上の最新成果についてご講演いただいた。続いて,京都大学の武田和行氏より,「オプトメカニクスを利用したNMR信号の高感度検出技術」 と題して,Electro-Mechano-Optical (EMO) NMR の概要と興味深い成果の一部をご紹介いただいた。お昼休憩の後,九州・西日本支部との交流事業として,九州工業大学の木内勝氏より,「縦磁界効果を用いた超伝導直流電力輸送ケーブルの開発」 についてご講演いただいた。線材の作製技術の向上に伴い,酸化物超伝導体でも縦磁界効果による臨界電流密度の増加が確認できるようになったことをご紹介いただいた。続いて,東北大学の伊藤悟氏より,「高温超伝導線材のインジウムを用いた簡易接合法の開発」 と題して,REBCO 線材の層間抵抗を評価するコンタクトプロービング CTL (Current Transfer Length) 法およびインジウムを用いた高温超伝導線材の圧着接合技術についてご講演いただいた。休憩後,物質・材料研究機構の西島元氏より,「NMR用超伝導磁石と超伝導材料」 と題して,1.3 GHz NMR マグネット開発の艱難辛苦と展望についてご講演いただいた。最後に,岩手大学の内藤智之氏より,「ベンチトップ型NMR用磁極としてのMgB2バルク磁石の可能性」 についてご講演いただいた。浸透法による大型MgB2バルクの作製に加えて,MgB2バルクを用いて初めて NMR 信号を検出できたことをご紹介いただいた。全ての講演終了後,材料研究会委員長・東北大学の淡路智氏より締めのご挨拶をいただき,最後に参加者全員のカメラをONにしてスクリーンショットを撮影した。また,通常であれば,講演後の雑談も重要であることから,講演後希望者が残って雑談をする時間を設けることもできた。  

 今回,東北・北海道支部としては初めてとなるWeb 会議システムによる研究会は,大きなトラブルもなく実施できたと考えている。事前の参加費の徴収方法や一斉メール連絡等については,登録期間も短くシステムも比較的容易に設定可能な「イベントペイ」が有効であった。今後も継続して利用可能なシステムである。
また今回は急な講演依頼にも関わらず,講演者の方全員からご快諾をいただき,前日の事前接続テストにも参加していただけたこともスムーズに実施できた要因であると思う。今後Webによる開催される研究会等の前例となり,幹事の手間が少しでも軽減されることを願います。

 

参加者全員でのスクリーンショット。

 

(山形大学 齊藤敦)


令和 2 年度 東北・北海道支部/第1回材料研究会 合同研究会のご案内

テーマ
NMRシステムと関連材料
日 時
2020年 9月 17日(木)
会 場
Online(Zoom のURLアドレスが参加申込者に送付されますので当日ログインしてください)
主 催
低温工学・超電導学会 東北・北海道支部
プログラム
9月17日(木)
 
9:00
9:05
 
開会の挨拶
藤代博之(岩手大学・
東北・北海道支部長)
 
9:05
9:55
 
固体核磁気共鳴(NMR)法の現状と最新動向
山田和彦(高知大学)
 
10:00
10:50
 
高温超伝導技術のNMRへの応用 ~何が難しいのか~
高橋雅人(理化学研究所)
 
10:55
11:45
 
オプトメカニクスを利用したNMR信号の高感度検出技術
武田和行(京都大学)
 
11:45
13:00
 
休憩
 
13:00
13:50
 
縦磁界効果を用いた超伝導直流電力輸送ケーブルの開発
木内 勝(九州工業大学・
西支部)
 
13:55
14:45
 
高温超伝導線材のインジウムを用いた簡易接合法の開発
伊藤 悟(東北大学)
 
14:45
15:00
 
休憩
 
15:00
15:50
 
NMR用超伝導磁石と超伝導材料
西島 元(物材機構)
 
15:55
16:45
 
ベンチトップ型NMR用磁極としてのMgB2バルク磁石の可能性
内藤智之(岩手大学)
 
16:45
16:50
 
閉会の挨拶
淡路 智(東北大学・
材料研究会委員長)
参加費
 2,000円
オーガナイザー
齊藤 敦(山形大学),内藤智之(岩手大学)
申込方法
参加を希望される方は,下記URL にて参加登録及び参加費の支払い手続きをお願いいたします。
https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=8723979707727066&EventCode=P626791811
当日参加も歓迎しますが確認作業のためZoom情報の送信にタイムラグが生じることをご承知おきください。
問合せ先
山形大学 齊藤 敦 E-mail: atsu [@] yz.yamagata-u.ac.jp  Tel: 0238-26-3289