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平成 20 年度 材料研究会/東北・北海道支部合同研究会 東北・北海道支部だより

 2008年度の東北・北海道支部研究会が、第2回材料研究会との共催で、8月5日(火)、6日(水)、山形市のウエルサンピアで開かれた。今回のテーマは「実用が見えてきた超伝導技術-物質と応用-」というテーマで以下のような9件の講演をお願いした。参加者は30名であった。

1.
「金属系超伝導材料」
竹内 孝夫(物材機構)
2.
「MgB2超伝導材料」
熊倉 浩明(物材機構)
3.
「蛍石ブロックをもつ層状銅酸化物」(鉄系も少し紹介)
山内 尚雄(東工大)
Maarit Karppinen(ヘルシンキ工科大)
田中 良明(東工大)
4.
「基礎物性に基づいた高温超伝導材料の高特性化開発」
筑本 知子(超電導工研)
5.
《九州・西日本支部との交流特別講演》
「超伝導体の磁束ピンニング特性」

松下 照男(九工大)
6.
「気象レーダ用超伝導フィルタの開発」
加屋野博幸(東芝)
7.
「超伝導デジタル応用の進展」
日高 睦夫(超電導工研)
8.
「SMESによる瞬低保障と変動負荷保障」
長屋 重雄(中部電力)
9.
「MCZ用超電導磁石」
櫻庭 順二(住友重機)

 8月5日には以下のような4件の研究発表があった。物材機構の竹内氏はNbTi,Nb3Sn,Nb3Alの超伝導線材の現状と問題点、今後の取り組み方などについてまとめて報告した。物材機構の熊倉氏はMgB2の基礎から線材応用について、特に線材化のプロセスやMgB2線材の利点、問題点について詳しく報告した。東工大の山内氏は長年研究してきた蛍石ブロックを持つ層状銅酸化物の特徴とTcの関係について講演した。山内先生と研究を共にしているヘルシンキ工科大学のMaarit Karppinen教授は高温超伝導発現における頂点酸素の役割にアトミックレイヤー成長による薄膜成長について、山内研究室大学院生の田中君は(Nd,Ce)CuO4超伝導体の正確な電子ドーピング量測定法とドープ量とTcの相関について報告した。超電導工研の筑本氏はコーティドコンダクターの作製法や超伝導特性について報告した。

 8月6日には、まず特別講演として九工大の松下氏により、超伝導体の磁束ピン二ング特性について、学生にも理解できるように基礎方程式から最近の研究成果まで報告していただいた。東芝の加屋野氏は、気象用レーダに応用する狭帯域の超伝導バンドパスフィルタの設計やその特性について報告した。超電導工研の日高氏は、低消費電力の超伝導SFQデバイスの設計やその性能について報告した。中部電力の長屋氏は、瞬低保障用SMESについてそのマグネット設計や利点についてと今後のYBCO線材の開発動向について報告した。住友重機の櫻庭氏は、シリコン単結晶を作製するチョクラルスキー(CZ)法に用いられる超伝導マグネットについての現状を報告した。

 この研究会は、若手参加者による情報提供を目的としたナイトセッションや親睦・交流を目的としたミッドナイトセッションにも力を入れている。今回は夜の9時から以下の5名よるナイトセッションを行った。

(1)
Atomic layer deposition and its recent applications to sciences and industry
Maarit Karppinen
Helsinki Univ. Technology
(2)
超伝導薄膜における磁束線可逆運動の解析
二村 宗男(秋田県立大)
(3)
超電導バルク体の磁気浮上応用~免震・除振装置~
津田 理(東北大)
(4)
総務省プロジェクトへの大嶋研究室の取り組み
齊藤 敦(山形大)
(5)
強磁場超伝導マグネット開発の現状と将来
淡路 智(東北大)

 ビールを飲みながらの気軽なセッションであるので、研究成果発表というよりも話題提供が主である。超伝導の面白い応用発表が多かった。その後、参加者同士の交流・情報交換を目的としたミッドナイトセッションを開催した。お酒が入るごとにボルテージが上がり、最近の超伝導研究の状況や国プロのスタンスなどが判り学会などでは聞くことができない貴重な情報を得ることができた。閉会は朝の3時になってしまった。

 この研究会のもう一つの目的、「東北の夏祭りを楽しむ」も順調に消化できた。山形の「花笠まつり」を見学し、東北の夏まつりの一端も垣間見ることができた。

 
(山形大学 大嶋重利)