過去の若手セミナー

平成 24 年度 東北・北海道支部 第17回 超伝導・低温若手セミナー 支部だより

 東北・北海道支部第17回超電導・低温若手セミナーが、2012年8月31日(金)から9月1日(土)の2日間にわたり、新潟市中央区にある新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」にて開催されました。参加者は、講師の先生方3名の他に、学生20名、大学からの参加者9名の計32名でした。本セミナーは、大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超電導の基礎から超電導体を用いた線材やデバイス、また、それらに関連する低温技術や応用技術を理解することを目的に毎年開催されているものです。前回に続くシリーズ企画「超電導材料・応用技術の最前線」として「超伝導材料の基礎と先端研究」をテーマとした最先端技術について、それぞれの分野の一流研究者3名を講師としてお招きし、わかりやすく講義していただきました。
 31日は渡辺和雄支部長の挨拶のあと、京都大学中村武恒准教授に「超伝導を利用した回転機イノベーションー非線形現象と環境調和の観点からー」と題して、産学連携で取り組まれている自動車用超伝導モータの研究成果を中心に講義いただきました。超伝導モータの魅力や課題、とくにその画期的に優れる安定性について、動画を織り交ぜて分かりやすく講演いただきました。これまで大型電機器にしか適用検討されていなかった超伝導モータが、充分に自動車用として成立することを具体的な数値を挙げて説明され、学生・教員ともに大いに刺激を受けました。
 この講義終了後は、参加学生のうち18名による研究発表が行われ、1人4分の発表と質疑応答2分が実施されました。学生は自ら取り組む研究を堂々と発表し、その態度は悠々たるものでした。活発な質疑がフロアから出され、学生達は普段得ることのない緊張した時間を過ごしたようでした。学生研究発表の終了後は場所を隣接する食堂に移し、学生と教員の参加による懇談会となりました。研究室をまたいでの学生交流は、今後学会での再会を約す絶好の交流の場となりました。
 翌日1日は「鉄系超伝導体研究の現状ー薄膜合成を中心に-」という題目で、名古屋大学の生田博志教授に講演いただきました。鉄ヒ素系を含む新しい超伝導体の材料と物性について、国内外の最近の研究例を踏まえて分かりやすく解説いただき、さらにご自身の研究成果について新しい超伝導体の魅力いっぱいに説明していただきました。続いては、新潟大学の福井聡准教授が、「大型洋上風力発電への高温超伝導技術の適用可能性と電磁設計例について」と題した講演を、超伝導を用いる理念から設計に至までわかりやすく説明していただきました。産業化を進めるに当たってのコストや開発戦略についても、グローバルな視点で豊富な情報をもとに説明いただきました。
 全ての講演の後に閉会式が行われ、渡辺和雄支部長により学生研究発表の優秀発表者に若手奨励賞の授与が行われました。受賞者は山形大学村田光茂君、東北大学澤田祐也君、新潟大学平山絵梨君、山形大学日下康平君、新潟大学山田幸正君でした。
 今回の若手セミナーでは鉄ヒ素材料の薄膜合成から、超伝導モータの開発研究、風力発電への応用にいたる広い分野にわたり活発な質疑応答がなされました。国内外のプロジェクトを抱えて多忙を極める講師の先生方には、原稿作成など大変なお手数をおかけしました。本記事の紙面を借りて厚く御礼申し上げます。

(新潟大学 岡徹雄)

平成 24 年度 東北・北海道支部 第17回 超電導・低温若手セミナーのご案内

 本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超伝導の基礎から、超伝導体を用いた線材やデバイス、また、それらに関連する低温技術、超伝導の多方面への応用を理解することを目的に毎年開催されています。昨年度から引き続き今年度も「超電導材料・応用技術の最前線」をテーマに超伝導の特性について基礎から応用の最先端までを、それぞれの分野の一流研究者を講師に招いて分かりやすく講義をしていただきます。
 また、初日には学生参加者を対象とした学生研究発表(1人10分;質疑含む)を行い、優秀発表者には表彰を行います。
 本セミナーは参加者と講師との深い議論と交流を行うため2日間の参加を前提とします。多数の学生、若手研究者や技術者の参加を期待します。

主 催
低温工学・超電導学会 東北・北海道支部
テーマ
超電導材料・応用技術の最前線(2)ー超伝導材料の基礎と先端研究ー
日 時
2012年8月31日(金)~9月1日(土)1泊2日
会 場
新潟大学・新潟駅前キャンパストキメイト・講義室A
新潟市中央区笹口1-1 プラーカ1(2F)  TEL. 025-248-8141
参加費
正会員5,000円,非会員10,000円,学生2,000円(テキスト代含む。昼食代は含まず。)
*宿泊場所は各自でご手配ください。
懇親会費
正会員・非正会員6,000円(学生2,000円)*確定人数・コースによって変動あり。
*基本的に参加でお願い致します。
払込方法
当日現金にてお支払いください。
プログラム
【1日目】8月31日(金)
 
13:30
13:40  
開会式
 
 
13:40
15:10  
講義1トピックス
「超伝導を利用した回転機イノベーション
ー非線形現象と環境調和の観点からー」

中村武恒(京都大学)
 
15:10
15:30  
休憩
 
 
15:30
17:30  
学生研究発表(プログラムは後日配布)
 
17:45
   
交流会場へ移動(新潟駅近辺に会場を予定)
 
18:00
20:00  
夕食・交流会
 
【2日目】9月1日(土)
 
9:00
10:30  
講義2「鉄系超伝導体研究の現状ー薄膜合成を中心に-」
生田博志(名古屋大学)
 
10:30
10:45  
休憩
 
 
10:45
12:15  
講義3「高温超電導コイルの特性評価と機器設計への展開」(仮)
福井 聡(新潟大学)
  12:15 12:30  
修了式
参加申込締切
2012年8月10日(金)
申込方法
E-mailまたはFAXにて,氏名・所属(学生の場合は学年と指導教員名)・電話番号・E-mailアドレスを下記申込先;岡徹雄宛にご連絡ください(適宜一括申込可)。
申込・問合せ先
新潟大学・大学院自然科学研究科 教授 岡 徹雄
〒950-2181 新潟市西区五十嵐2の町8050
E-mail:okat@eng.niigata-u.ac.jp,TEL:025-262-7668,FAX:025-262-7666
備考
講義演題は変更になる場合があります。
学生研究発表の時間を延長する場合があります。
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