過去の若手セミナー

平成 17 年度 東北・北海道支部 第10回 超伝導・低温若手セミナー 支部だより

 低温工学協会東北・北海道支部主催の第10回超電導・低温若手セミナーが山形県山形市蔵王温泉において2005年8月17日(水)から19日(金)の3日間にわたり開催されました。本セミナーは、大学や企業の若手研究者や技術者を対象に、超電導の基礎から、超電導体を用いた線材やデバイス、また、それらに関連する低温技術、超電導の多方面への応用を理解してもらうことを目的に毎年開催されています。今回は、装いを新に「新たな展開のための超電導講座(1)」と題して3年間継続いたします。その第一回目は「超電導の基礎と先端材料、応用、測定」をテーマに、それぞれの分野の一流研究者・技術者4名を講師にお迎えして分かりやすく講義をしていただきました。参加者は学生、正会員、講師を含めて29名でした。

 セミナー初日は午後から開始し、超電導理論の立場から東北大学大学院情報科学研究科の海老澤丕道先生に「超電導基礎理論入門」と題して講義をしていただきました。先ず超電導を特徴付けている現象を紹介した後、それらの現象を理論的に解説していただきました。常伝導から超電導状態への相転移、BCS理論の入門、続いて磁場中の超電導状態についてギンツブルグ-ランダウ方程式から誘導される結果を詳細に説明していただきました。さらに、位相とジョセフソン効果、準粒子のトンネル効果、磁場下の近接効果、ナノサイズと磁束量子の最近の話題に至るまでの幅広い理論入門編でした。活発な質問が多く出され、特に、常温超電導の可能性に関する議論が白熱いたしました。

 2日目は朝から始まり、先端材料開発の立場から「高温超電導バルク材料の基礎と応用」と題して、(財)国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所の坂井直道氏より、基礎から最近の話題まで講義していただきました。磁場誘起型ピン止めによる高磁場での高Jc化の有効性や、ローレンツ力によるバルクの破壊とその改善策など具体的な内容、さらに、最近のチャンピオンデータである29Kでの17Tの超強力磁石について、また、フライホイール、磁気分離、モータ、マグネトロンスパッタ装置への応用までの幅広い解説をしていただきました。バルク材の水による劣化に関する質問など活発になされました。

 2日目の午後は、超電導応用の立場から高エネルギー加速器機構の土屋清澄先生に「加速器用超電導マグネットと計測」と題して、超電導マグネット固有の現象であるクエンチとトレーニング、使用される超電導線材、加速器で実現すべき磁場の計算方法、電磁力、クエンチと保護、磁場計測などとともに、LHCの現状と今後のアップグレード計画にいたるまでを講義していただきました。大型の加速器を実現するのに必須な冷凍機技術の研究開発に関しても、実体験から出てくる迫力に満ちた講演でした。加速器で開発された多くの技術は他の分野の超電導技術に大きな貢献をしていることも良く理解できました。

 続いて、ヤングミキサーと称して、参加した学生の所属する研究室の紹介と、自身の研究の紹介をしてもらいました。研究成果のみでなく、他の研究室の取り組みや雰囲気なども実感を伴ってお互いに知ることができました。

 最終日は、先端測定技術の立場から(財)国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所の町敬人氏より、「MO磁束観察法の解説と最近のトピックス」と題して、MOの原理から最近の磁束量子の観測に至るまでの研究開発成果、および、超電導工学研究所で研究しているMgB2の状況についても講演していただきました。低温超電導体への磁束量子の侵入状況のMO動画に感銘を受けました。高温超電導体の特性劣化の原因究明にもMO法が活躍していることも分かりました。活発な質問も多く、時間が不足気味でした。

 最後に、大嶋支部長から学生受講者全員にセミナー修了証書が手渡され、予定通りに終了いたしました。

 セミナー会場の蔵王温泉は冬場には日本有数のスキーのメッカであり、また、雄大な樹氷群は有名です。夏場は学生用のセミナー場所として有効利用されています。大露天風呂の温泉もあり、濃い緑の木々の間でくつろぐこともできます。
 宿泊形式で参加者と講師、あるいは、日頃気軽に話す機会のない方々と交流もでき、また、種々の銘酒で忌憚の無いお話を夜遅くまですることができ、一層の親睦も深めることができました。

 講師の先生方には、多忙中にも拘らずテキスト原稿を事前に準備していただき、さらに、3日間を通して参加していただき、ここに改めて御礼申し上げます。本若手セミナーは、来年以降も続けていきますので、多数の学生、若手研究者・技術者が参加して一層深い知識の習得や交流を期待しています。

(東北大学 濱島高太郎)

主 催
低温工学協会 東北・北海道支部
テーマ
新たな展開のための超電導講座 (1)  -超電導の基礎と先端材料,応用,測定-
日 時
2005年8月17日(水)14:00 - 8月19日(金)12:20
会 場
蔵王温泉エコーホテル 山形県山形市蔵王温泉1117
電 話:023(694)9533,http://www.echohotel.co.jp
参加費
正会員35,000円、非会員40,000円(宿泊費、テキスト代含む)
(注1:同時学会入会申込みの方も会員と認めます)
(注2:学生は学生会員に入会申込することにより15,000円を割引します)
プログラム
【1日目】8月17日(水)
 
14:00
14:15
 
東北・北海道支部長挨拶
 
13:00
15:30
 
セミナー -超伝導基礎-
「超伝導基礎理論入門」

海老澤 丕道(東北大学大学院情報科学研究科)
 
18:00
19:00
 
夕食
 
【2日目】8月18日(木)
 
9:00
12:00
 
セミナー -バルク材料-
「バルク材料の基礎と応用」

坂井 直道(超電導工学研究所)
 
13:00
16:00
 
トピックス -先端応用-
「加速器用超電導マグネットと計測」

土屋 清澄(高エネルギー加速器機構)
 
16:00
17:30
 
ヤングミキサー 研究室紹介・フリーディスカッション
 
18:00
20:00
 
夕食・懇親会
 
【3日目】8月19日(金)
 
9:00
12:00
 
セミナー -先端測定技術-
「MO磁束観察法の解説と最近のトピックス」

町 敬人(超電導工学研究所)
      朝食後  
セミナー修了式
幹 事
東北大学大学院/ 濱島 高太郎 hamajima@ecei.tohoku.ac.jp  TEL:022-795-7043 FAX 022-263-9371
東北大極低温/ 野島 勉 nojima@imr.tohoku.ac.jp  TEL/FAX 022-215-2167/2168
北海道工業大学/ 槌本 昌則 tsuchi@hit.ac.jp TEL:011-688-2315 FAX:011-681-3622
山形大学工学部/ 平野 悟 shirano@yz.yamagata-u.ac.jp TEL/FAX 025-262-7369

セミナー会場における参加者

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