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2026年度 総会

2026年度東北・北海道支部総会が,2026年4月17日(金)に対面形式で開催され,総会後,記念講演会・事業会員企業の紹介,学生研究交流会の紹介が開催された。概要は以下の通りである。

1. 東北・北海道支部総会 14:00〜15:00
 
場 所
東北大学金属材料研究所 本多記念館 3階 会議室(旧視聴覚室)
   伊藤庶務幹事より,総会員数80名に対し,総会出席者数16名,委任状数23通の合計39名が支部規約の定足数(会員の1/4以上)を満たしており,総会が成立した旨の宣言の後,議長に内藤智之氏(岩手大)を選出した。
淡路支部長挨拶の後,以下の議事について審議した。
 
(1)
令和7年度の活動報告がなされた。
 
(2)
令和7年度の決算報告及び会計監査報告がなされた。
 
(3)
令和8年度の支部役員案が諮られ承認された。
 
(4)
令和8年度の活動計画案が諮られ承認された。
 
(5)
令和8年度の予算案が諮られ承認された。
 
(6)
東北・北海道支部規約改定案が諮られ承認された。
   令和8年度の主な活動計画は,材料研究会との共催により令和8年8月下旬~9月に開催予定の支部研究会,令和8年11月中旬~下旬に仙台市で開催予定の「水素・超電導モータ」をテーマとした市民講演会,令和8年11月下旬に仙台市で開催予定の応用物理学会東北支部との共催による学術講演会,令和8年6月,9月および12月に開催予定の学生研究交流会(9月:オンライン交流会,6月および12月:対面交流会),令和8年4月17日,11月中旬~下旬,令和8年3月15日に開催予定の役員会である。
2. 記念講演会 15:00~16:10
 
場 所
東北大学金属材料研究所 本多記念館 3階 会議室(旧視聴覚室)
 
参加者
30名
 
題 目
「核融合炉の開発の現状と未来」
 
講演者
橋爪秀利氏(仙台高等専門学校校長・東北大学名誉教授)
   今年度の記念講演会では,仙台高等専門学校校長・東北大学名誉教授の橋爪秀利氏から,「核融合炉の開発の現状と未来」という題目でご講演をいただいた。核融合炉の基本概念から最新の研究開発動向に至るまで幅広く概説いただくとともに,橋爪先生が提案されている「核融合中性子を利用した核変換システム」を中心に,核融合炉の付加価値創出とその実現可能性や,超伝導マグネットの重要性も含め,将来の核融合炉実現に向けた技術課題と方向性が示された。
 講演の冒頭では,橋爪先生が若手の頃(学部学生~助手)の研究歴について紹介があった。学生時代には,液体金属流や超伝導マグネットに関する研究に従事し,限られた計算資源での電磁場解析や超伝導コイル実験に取り組まれた経験が語られた。また,超伝導発電機の交流損失の評価や臨界状態モデルに基づいた超伝導体内部での電流分布の解析手法の開発で,現低温工学・超電導学会長の秋田調氏や,昨年度の記念講演会講師の石山敦士氏とともに研究を行ったエピソードも紹介された。
 続いて,核融合炉の基本概念として,トカマク型,ヘリカル型,レーザー方式といった主要な閉じ込め方式および発電システムの全体像について概説いただいた。その上で,ITER計画を中心とした各国の研究開発動向に加え,近年は民間企業やスタートアップの参入が進み,開発の多様化と加速が進展している現状が示された。また,新規技術は失敗を前提として発展していくものであり,試行錯誤を積み重ねていくことの重要性が示唆された。
 さらに,核融合炉実現に向けた技術的課題について言及があり,特に,高出力化に伴うダイバータへの極めて大きな熱負荷や,中性子照射環境下における材料開発の困難さ,さらには発電コストの観点からの課題が指摘された。また,このような状況を踏まえ,核融合炉の実現には段階的な技術発展が重要であり,いきなり大規模発電炉を目指すのではなく,中性子利用などの応用から進展させる戦略が有効であるとの見解が示された。
 これらの課題に対する一つの解決案として,橋爪先生が提案されている「核融合中性子を利用した核変換システム」について詳細な説明がなされた。本システムは,核融合炉で得られる核融合中性子を利用してマイナーアクチノイドなどの長寿命核種を核変換することで,原子力発電所の放射性廃棄物問題の解決および核燃料サイクルの高度化に寄与するものである。既存の再処理施設との連携なども含めた実現性のある導入シナリオが示され,核融合炉に発電以外の役割を持たせる重要性が強調された。
さらに,多様な磁場閉じ込め核融合炉の実用化に向けて,基盤技術として超伝導マグネットの重要性が強調された。その具体例として,橋爪先生らが取り組んできた分割型高温超伝導マグネットに関する研究が紹介され,大型コイルの分割構造による製作性・保守性の向上や,接合部および冷却に関する技術開発の現状が説明された。
 講演後の質疑応答では,核変換用途における核融合炉の必要数や中性子エネルギーの適用範囲に関する議論が行われた。また,核変換ブランケット設計や核データの信頼性に関する質問もあり,活発な意見交換がなされ,核融合炉の将来像について理解を深める有意義な機会となった。
記念講演会(橋爪先生のご講演)の様子
3. 事業会員企業の紹介 16:10~16:30
 
場 所
東北大学金属材料研究所 本多記念館 3階 会議室(旧視聴覚室)
 
紹介者
淡路 智氏(東北大学)
 
参加者
29名
   東北・北海道支部の事業会員企業を支部長から支部会員に紹介する機会を昨年度から設けている。本企画では,淡路支部長より事業会員企業の紹介が行われるとともに,特に低温工学・超電導学会の研究分野に関する事業内容および販売製品ついて情報共有がなされた。本年度は,出席いただいた事業会員企業として,美和電気工業株式会社の松葉様および株式会社ブルーフォースの太田様からご挨拶をいただき,各社の事業内容や低温工学・超電導分野に関連する技術について紹介が行われた。さらに,会場にて名刺交換の機会も設けられ,参加者間での交流が図られた。
 今後も事業会員企業に東北・北海道支部へのご協力をお願いするとともに,支部会員と事業会員企業の交流を促進できるような取り組みを推進していく予定である。
4. 学生研究交流会の紹介 16:30~17:00
 
場 所
東北大学金属材料研究所 本多記念館 3階 会議室(旧視聴覚室)
 
紹介者
榊原里樹氏(北海道大学)
 
参加者
29名
   東北・北海道支部の会員や東北・北海道地区の学生に周知することを目的に,本年度で7期目となる「学生研究交流会」の活動内容の紹介を実施した。本交流会の2027年度代表である榊原里樹氏(北海道大学博士課程学生)から,これまでの活動実績および今後の活動計画について紹介があった。本交流会は,低温工学・超電導分野に関係する学生同士の交流促進を目的として,コロナ禍を契機に東北・北海道支部の学生により設立され,同支部の支援のもと継続して活動している。
 昨年9月に開催したオンライン交流会では全国から12研究室30名の学生が参加した。自己紹介や研究室紹介,小グループでの交流などを通じて,所属や専門分野を超えたコミュニケーションの機会を提供してきたことが説明された。特に,少人数での交流や勉強会形式の導入により,参加学生の満足度が非常に高いことが報告された。さらに昨年度は,若手の会および基盤強化委員会との共催により,秋季低温工学・超電導学会の場を活用した対面交流会が初めて実施され,全国から15研究室34名の学生を含む54名が参加し,高い評価を得たことが紹介された。
 今年度は,昨年度の成果を踏まえ,対面交流会をさらに拡充し,春季および秋季低温工学・超電導学会の双方において対面交流会を開催する計画である。加えて,9月頃にオンライン交流会の実施も予定されており,対面・オンライン双方の特長を活かしながら段階的に交流の機会を設計することで,より効果的なネットワーク形成を目指している。また,紹介後の質疑応答では,高専生を含む幅広い学生層の参加促進や,新たな企画の展開についての議論もなされ,本交流会を起点としたさらなる発展が期待される。
学生研究交流会紹介(榊原里樹氏)の様子
(東北大学 淡路 智,伊藤 悟)