令和 5 年度 東北・北海道支部 第20回 超電導・低温若手セミナー 支部だより
2023年度東北・北海道支部第24回超伝導・低温若手セミナーが2023年9月26日(火)~28日(木)の3日間にわたって宮城県仙台市青葉区の東北大学金属材料研究所で開催された。参加者は,講師1名に加えて,学生27名(うち大学院博士学生6名,大学院修士学生14名,学部生6名,高専専攻科生1名),大学・高専関係者9名,企業技術者4名の計41名であった。本セミナーは大学や企業の若手研究者と学生を対象に,超伝導の基礎を集中的に学ぶ機会を広く提供することを目的に,隔年で開催されている。前回は新型コロナウィルス感染症の拡大の影響を受けてオンライン形式で実施したが,今年度は5類感染症への移行に伴い,対面形式で開催した。
初日は,午後からオーガナイザーの一人である加藤が挨拶を行った後,学生参加者10名による研究発表(発表10分+質疑応答5分)が行われた。今回は,座長を大学院博士学生にお願いし,また休憩と発表会直後に各30分のフリーディスカッションタイムを設け,ソフトドリンクとお菓子を無料で提供した。その甲斐があってか,学生間で非常に活発な議論がなされ,学生間の交流を深めることができたと感じた。そして,学生以外の一般参加者で採点を実施した結果,小野寺伶耶君(東北大学M1),箱石裕人君(岩手大学D1),黒澤陸杜君(東北大学M2)が優秀発表者として選ばれた。
2日目と3日目には「超伝導の基礎を直観的に理解する」をテーマに東北大学名誉教授の小池洋二氏を講師として招いて講義をしていただいた。まず,2日目の午前には超伝導の発見から完全反磁性,磁束の量子化,トンネル効果など超伝導の基本的な性質を,午後にはロンドン,ピパード,ギンツブルク-ランダウの現象論を,そして,3日目の午前にBCS理論を説明していただいた。説明の途中で何度も中断していただいて質問の時間を多くとってもらった。講義の後半の理論については複雑な数式を用いながらも,何を意味しているのかを直観的に説明していただいた。また,絶縁体と同じくフェルミ準位にギャップを持つにもかかわらず超伝導では電気伝導性がある理由や,スピンゆらぎによる電子対形成のイメージなど一般的な教科書にはなかなか記載されていないような素朴な疑問にも答えていただいた。
また,今回は新たな企画として2日目午後の後半に講義会場である東北大学金属材料研究所内にある強磁場超伝導材料研究センターと極低温科学センターの施設見学を行った。各々,淡路智氏と野島勉氏に計1時間半程度,実験設備の説明をしていただいた。初めて見る学生が多く,スケールの大きさだけでなく,いろいろなところにいろいろな技術が使われている点に感動したと好評であった。
3日目午前の講義終了後に閉会式を行った。津田支部長から本セミナーの総括があった後,学生優秀発表者に対して賞状と副賞が授与された。そして,参加者全員で写真撮影を行い,セミナーを終了した。最後に講師の小池氏には,長時間にわたる講義をお引き受けいただきましてこの場を借りて改めて感謝を申し上げます。また,施設見学を担当していただいた淡路氏,野島氏,並びに参加していただいた皆さん方にお礼申し上げます。次回は2年後を予定しており,多くの学生・若手研究者の皆さんの参加をお待ちしています。
(東北大学 加藤 雅恒)
令和 5 年度 東北・北海道支部 第24回超電導・低温若手セミナーのご案内
本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超伝導の基礎を集中的に学ぶ機会を広く提供することを目的に開催されています。初日には大学院生の参加者を対象とした学生研究発表会を行い、優秀発表者には最終日に表彰を行います。二日目と三日目には、「超伝導の基礎を直観的に理解する」をテーマに東北大学名誉教授の小池洋二先生を講師として招いてわかりやすく講義をしていただきます。一般的な教科書には記されていないような素朴な疑問にも答えていただけるように質問の時間を多くとります。また、二日目には東北大学金属材料研究所内の施設の見学を企画しました。多数の学生、若手研究者・技術者の参加をお待ちしております。テーマ |
: | 超伝導の基礎を直観的に理解する 〈講義内容〉 超伝導の基本的性質、現象論(ロンドン、ギンツブルク‐ランダウ)、微視的理論、銅酸化物超伝導、他 |
---|---|---|
日 時 |
: | 2023年 9月 26日 (火) ~ 28日 (木) |
会 場 |
: | 東北大学金属材料研究所2号館講堂 〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 アクセスの詳細はhttp://www.imr.tohoku.ac.jp/ja/about/location.htmlをご覧下さい |
主 催 |
: | (社)低温工学・超電導学会 東北・北海道支部 |
プログラム |
|||||||
【1日目】9月26日(火) |
|||||||
13:00 |
〜 |
13:10 |
開会の挨拶 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
13:10 |
〜 |
18:00 |
学生研究発表(途中、休憩含む) |
||||
18:00 |
〜 |
20:00 |
懇親会 |
||||
|
|||||||
【2日目】9月27日(水) |
|||||||
9:00 |
〜 |
10:30 |
講義 I |
小池 洋二 (東北大学名誉教授) |
|||
10:30 |
〜 |
10:45 |
休憩 |
||||
10:45 |
〜 |
12:15 |
講義 II |
小池 洋二 (東北大学名誉教授) |
|||
12:15 |
〜 |
13:30 |
昼休み |
||||
13:30 |
〜 |
15:00 |
講義 III |
小池 洋二 (東北大学名誉教授) |
|||
15:00 |
〜 |
15:15 |
休憩 |
||||
15:15 |
〜 |
18:00 |
施設見学 (強磁場超伝導材料研究センター、極低温科学センター) |
||||
|
|||||||
【3日目】9月28日(木) |
|||||||
9:00 |
〜 |
10:30 |
講義 IV |
小池 洋二 (東北大学名誉教授) |
|||
10:30 |
〜 |
10:45 |
休憩 |
||||
10:45 |
〜 |
11:30 |
講義 V |
小池 洋二 (東北大学名誉教授) |
|||
11:30 |
〜 |
11:40 |
休憩 |
||||
11:40 |
〜 |
12:00 |
優秀発表賞表彰・閉会式 |
参加費 |
: | 2,000円(会員、非会員問わず。テキスト代を含む) |
---|---|---|
参加申込方法
|
: | イベントペイ(https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=8723979707727066&EventCode=2481027626)でお申込み・参加費支払いの手続をしてください。1日限りの参加でも歓迎します。 |
参加申込期限 |
: | 9月15日(金)23:59 |
学生研究発表 |
: | 申込ページに学生研究発表(大学院生・高専専攻科生対象)の申込の有無、発表者情報、共著者情報、発表題目を入力するところがあります。優秀発表者には表彰を行います。発表言語は日本語または英語とします。 発表の新規性は不問です(自身の研究内容なら過去の学会等での発表内容を含めて構いません)。 申し込み後に登録情報に変更がある場合には問い合わせ先(オーガナイザー:加藤 雅恒)までご連絡ください。 |
宿泊 |
: | 宿泊については各自で手配ください。 |
オーガナイザー |
: | 加藤 雅恒(東北大),高橋 弘紀(東北大),金沢 新哲(室蘭工大) |
問合せ先 |
: | 東北大学大学院工学研究科 加藤 雅恒 E-mail: masatsune.kato.b8@tohoku.ac.jp Tel: 022-795-7976 |