平成 30 年度 東北・北海道支部 第20回 超電導・低温若手セミナー 支部だより
東北・北海道支部第22回超電導・低温若手セミナーが2018年9月24日(月・祝)~26日(水)の3日間に渡って宮城県仙台市青葉区片平2丁目の「東北大学金属材料研究所2号館講堂」で開催された。参加者は,講師6名に加えて,学生25名(うち大学院博士学生3名,社会人博士学生1名,大学院修士学生14名,研究生1名,学部生5名,高専専攻科生1名),大学関係者12名の計43名であった。本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に,超伝導の基礎から,超伝導体を用いた線材やデバイス,またそれらに関連する低温技術,超伝導の多方面への応用を理解することを目的に開催されている。一昨年度までは1泊2日で毎年実施されていたが,2泊3日で隔年実施することに改め,若手研究者や学生が集中的に学ぶ場を提供することとした。今回は「超伝導・低温工学の基礎から応用までを幅広く学ぶ」をテーマに初日に超伝導特性の基礎を,2日目以降に超伝導の各応用分野(材料・電力・デバイス)や低温工学の基礎(冷凍機)を,それぞれの分野の研究者を講師に招いて分かりやすく講義をしていただいた。
初日は,藤代支部長挨拶の後,「超伝導基礎」という題目で東北大の野島勉氏に2コマ分のご講義いただいた。超伝導の基礎についてBCS理論を中心に独自解釈を加えながら,工学系の学生にも超伝導の基礎物理がわかるように説明してくださり,貴重な機会となった。
2日目は1コマ目に「超伝導応用1 材料1(HTSバルク,MgB2,鉄系超伝導体)」という題目で東京農工大の山本明保氏にご講義いただいた。それぞれの材料のバルク体によって色々な特徴があることや面白みのある説明があった。さらに,途中はクイズを出していただき,理解度アップなど工夫を凝らした講演であった。2コマ目は「超伝導応用2 材料2(強磁場超伝導線材,超伝導接合)」という題目でNIMSの伴野信哉氏にご講義いただいた。核融合炉などで使用する大電流ケーブルの開発について熱意ある説明があった。さらに,重要技術となる超伝導接合の現状についてもご説明があった。3コマ目は「超伝導応用3 電力システム」という題目で東北大の濱島高太郎氏にご講義いただいた。交流ケーブル・コイルにおける均一電流の実現法,交流損失,磁界解析などについて,実用的な式を交えながら説明してくださり,ケーブル,コイル設計に携わる場合に必要な基礎知識を得ることがでた。
3日目は1コマ目に「超伝導応用4 デバイス(超伝導フィルタ)」という題目で山梨大の關谷尚人氏にご講義いただいた。マイクロ波帯域通過フィルタについての基礎から応用までと,超伝導コイルを用いたワイヤレス電力伝送についての説明があった。フィルタの研究で得られた知見がワイヤレス電力伝送に活かされているとのことで,とても興味深い内容であった。2コマ目は「低温工学基礎 冷凍機」という題目でコンポン研究所の井上龍夫氏にご講義いただいた。熱力学や冷凍機の種類・構造・原理などについて説明があった。普段何気なく使用することも多い冷凍機について改めて理解することができた。
初日の夕方と2日目の夕方には学生参加者による研究発表(大学院博士課程学生:発表15分+質疑応答5分,大学院修士課程学生および高専専攻科:発表10分+質疑応答5分)が行われた。講師・参加教員で採点を実施した結果,泊瀬川晋君(東北大学D1),結城光平君(東北大学M2),門脇駿君(豊田高専専攻科1年)が優秀発表者として選ばれた。
初日の夜には懇親会,2日目の夜にはナイトセッション(軽食付き)を行い,参加者の親睦を深めた。懇親会は東北大学のレストラン「萩」で行われ,牛タン焼きなどの宮城ならではの料理とお酒をいただきながら,講師・大学関係者・学生間で交流をした。ナイトセッションでは,博士課程後期の学生3名から,超伝導・低温工学分野の研究の魅力,キャリアパスへの考え,研究の悩みなど,ざっくばらんに修士・学部・高専の学生に語っていただいた。今後も学生参加型のイベントを本若手セミナーに導入し,本分野の学生や研究者同士の交流および人材育成活性化の一端とできればと考えている。
3日目の最後に閉会式を行い,セミナーを終了した。藤代支部長から本セミナーの総括があった後,学生優秀発表者に対して若手奨励賞が授与された。
最後に講師の皆様には,多忙な中講義をお引き受けいただきましてありがとうございました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。また,参加していただいた先生方,学生の皆さん方にもお礼申し上げます。次回は2年後で,場所は未定ですが,参加者が幅広く超伝導・低温工学を学び,また交流・研究促進を図れるような機会にできればと考えています。多くの学生の皆さんの参加をお待ちしています。
ナイトセッションの様子
集合写真
優秀発表者表彰
(東北大学 伊藤 悟)
平成 30 年度 東北・北海道支部 第22回超電導・低温若手セミナーのご案内
本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超伝導の基礎から、超伝導体を用いた線材やデバイス、またそれらに関連する低温技術、超伝導の多方面への応用を理解することを目的に毎年開催されています。一昨年度までは1泊2日で毎年実施されていましたが、2泊3日で隔年実施することに改め、若手研究者や学生が集中的に学ぶ場を提供することとしました。本年度は「超伝導・低温工学の基礎から応用までを幅広く学ぶ」をテーマに初日に超伝導特性の基礎を、2日目以降に超伝導の各応用分野(材料・電力・デバイス)や低温工学の基礎(冷凍機)を、それぞれの分野の研究者を講師に招いて分かりやすく講義をしていただきます。
また、初日・2日目には大学院生の参加者を対象とした学生研究発表(1人あたり10分~15分程度・参加人数によって変更の可能性あり)を行い、優秀発表者には表彰を行います。さらに、2日目の夜にはナイトセッション(軽食付き)を開催し、博士課程学生から、超伝導・低温工学分野の研究の魅力、キャリアパスへの考え、研究の悩みなど、ざっくばらんに修士・学部の学生に語っていただき、本分野の学生や研究者同士の交流および人材育成活性化の一端とできればと考えています。多数の学生、若手研究者・技術者に参加をお願いし、一層深い議論と交流を期待します。
テーマ |
: | 超伝導・低温工学の基礎から応用までを幅広く学ぶ |
---|---|---|
日 時 |
: | 2018年 9月 24日 (月・祝) ~ 26日 (水) |
会 場 |
: | 東北大学金属材料研究所2号館講堂 〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 アクセスの詳細はURL: http://www.imr.tohoku.ac.jp/ja/about/location.htmlをご覧下さい |
主 催 |
: | (社)低温工学・超電導学会 東北・北海道支部 |
プログラム |
|||||||
【1日目】9月24日(月・祝) |
|||||||
13:00 |
〜 |
13:10 |
開会式 |
東北・北海道支部長 藤代 博之 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|
13:10 |
〜 |
14:40 |
講義 I 「超伝導基礎1」 |
野島 勉 (東北大) |
|||
14:40 |
〜 |
14:50 |
休憩 |
||||
14:50 |
〜 |
16:20 |
講義 II 「超伝導基礎2」 |
野島 勉 (東北大) |
|||
16:20 |
〜 |
16:30 |
休憩 |
||||
16:30 |
〜 |
18:00 |
学生研究発表 |
||||
19:00 |
〜 |
21:00 |
懇親会 |
||||
|
|||||||
【2日目】9月25日(火) |
|||||||
9:00 |
〜 |
10:30 |
講義 III 「超伝導応用1 材料1(HTSバルク,MgB2,鉄系超伝導体)」 |
山本 明保 (東京農工大) |
|||
10:30 |
〜 |
10:40 |
休憩 |
||||
10:40 |
〜 |
12:10 |
講義 IV 「超伝導応用2 材料2(強磁場超伝導線材,超伝導接合)」 |
伴野 信哉 (NIMS) |
|||
12:10 |
〜 |
13:30 |
昼休み |
||||
13:30 |
〜 |
15:00 |
講義 V 「超伝導応用3 電力システム」 |
濱島 高太郎 (東北大) |
|||
15:00 |
〜 |
15:10 |
休憩 |
||||
15:10 |
〜 |
18:20 |
学生研究発表 |
||||
18:30 |
〜 |
19:30 |
ナイトセッション:博士課程学生による学部・修士学生へのメッセージ |
||||
|
|||||||
【3日目】9月26日(水) |
|||||||
9:00 |
〜 |
10:30 |
講義 VI 「超伝導応用4 デバイス(超伝導フィルタ)」 |
關谷 尚人 (山梨大) |
|||
10:30 |
〜 |
10:40 |
休憩 |
||||
10:40 |
〜 |
12:10 |
講義 VII 「低温工学基礎 冷凍機」 |
井上 龍夫 (コンポン研究所) |
|||
12:10 |
〜 |
12:20 |
優秀発表賞表彰・閉会式 |
東北・北海道支部長 藤代 博之 |
参加費 |
: | 一般会員 5,000円、一般非会員 10,000円、学生 3,000円 (テキスト代を含む) ※当日現金でお支払い下さい。 |
---|---|---|
申込方法
|
: | 2018年8月31日(金)までに、E-mailにて、氏名、所属(学生の場合は学年と指導教員名)、連絡先住所、電話番号、E-mailアドレス、(大学院生の場合)学生発表の有無、参加予定日を下記 伊藤宛にご連絡ください。1日間、2日間の参加でも歓迎します。 |
申込・問合せ先 |
: | 東北大学・大学院工学研究科・量子エネルギー工学専攻 伊藤 悟 E-mail: satoshi.ito@qse.tohoku.ac.jp Tel: 022-795-7905 Fax: 022-795-7905 |
懇親会 |
: | 初日の夜に懇親会を行う予定です。詳細は別途連絡致します。懇親会費は参加費とは別に集めます。 |
宿泊 |
: | 宿泊については各自で手配ください。 |
オーガナイザー |
: | 伊藤 悟(東北大),野口 聡(北海道大),山田 博信(山形大) |