過去の若手セミナー

平成 26 年度 東北・北海道支部 第19回 超伝導・低温若手セミナー 支部だより

 東北・北海道支部第19 回超電導・低温若手セミナーが2014 年9 月4 日(木)~ 5 日(金)の2 日間に渡って岩手県雫石町鴬宿温泉「赤い風車」で開催されました。参加者は、講師3 名に加えて、学生9 名(うち大学院生6 名、学部生3 名)、大学関係者9 名の計21 名でした。本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超電導の基礎から、超電導体を用いた線材やデバイス、また、それらに関連する低温技術や応用技術を理解することを目的に毎年開催されています。今回は、シリーズ企画「超電導の基礎と最先端応用技術を学ぶ」の第一弾として、「磁束」をテーマとした、超伝導薄膜における渦糸状態、固有ジョセフソン接合を用いたテラヘルツ発振、磁気浮上式鉄道について、それぞれの分野でご活躍中の研究者を講師としてお招きし、分かりやすく講義していただきました。
 初日前半は、中島支部長挨拶の後、「超伝導薄膜と渦糸状態」という題目で東北大学の野島勉氏にご講義いただきました。最初に薄膜の各種作製方法からその評価方法、引き続いて銅酸化物超伝導体の特異な磁束状態について説明があり、その解明に薄膜が重要な役割を担っていたことが分かりました。さらに現在実用化が進められているRE 系薄膜線材の性能向上に対する方策についても言及がありました。
 初日後半は学生参加者による研究発表(大学院生:発表10 分+質疑応答5 分、学部生:発表7 分+質疑応答3分)が行われました。皆さんの発表はとても分かりやすく、普段から良く考えて研究を行っているのが伝わってきました。講師2 名と参加教員9 名で採点を実施した結果、望月豪彦君(岩手大学M1)と大村拓也君(東北大学M1)の2 名が優秀発表者として選ばれました。
 その後、温泉(ラドン岩盤浴が自慢の宿でした)や地元の幸を堪能しながら参加者全員で親睦を深めました。特に学生たちは寝食を共にすることで親睦が深まり、新しいネットワークができたと思います。
 2 日目前半は「固有ジョセフソン接合の物理と高温超伝導テラヘルツ光源」という題目で京都大学の掛谷一弘氏にご講義いただきました。天然の多重ジョセフソン接合を有するBi 系超伝導単結晶を用いたテラヘルツ領域電磁波発振のメカニズムとその実現に至るまでの道のりについて説明がありました。発振強度には素子の発熱が密接に関わっており、デバイスにおいても熱の問題が重要であることが分かりました。
 2 日目後半は「磁気浮上式鉄道と超電導技術」という題目で鉄道総合技術研究所の長嶋賢氏にご講義いただきました。磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)開発の経緯や普段耳にすることができない開発過程での様々な裏話を聞くことができました。また、磁気浮上式鉄道の開発においては超電導技術のみならず超電導状態を維持するための低温技術が非常に重要であることが分かりました。
 最後に閉会式が行われました。中島支部長から本セミナーの総括があった後、学生優秀発表者に対して若手奨励賞が授与されました。
 今回の若手セミナーは、学生たちが積極的に質問するなど非常に活発であったという印象です。最後に講師の皆様には、多忙な中講師をお引き受けいただいた上にテキストまで作成していただきまして有難うございました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。来年度の若手セミナーは北海道札幌市近郊で開催される予定です。普段の学会ではパラレルセッションのため自身の研究と異なる分野を聴講出来ない場合が多いですが、若手セミナーは一つのテーマには絞られますが基礎から応用に至るまで一度に学ぶことができる良い機会になると思います。多くの学生諸子の参加をお待ちしています。

 
講義の様子
 
参加全員の集合写真
(岩手大 内藤智之)

平成 26 年度 東北・北海道支部 第19回 超電導・低温若手セミナーのご案内

 本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超電導の基礎から、超電導体を用いた線材やデバイス、また、それらに関連する低温技術や応用技術を理解することを目的に毎年開催されています。今回は、シリーズ企画「超電導の基礎と最先端応用技術を学ぶ」の第一弾として、「磁束」をテーマとした、各種超電導材料の基礎特性からデバイス・システム応用に至るまでの最先端技術について、それぞれの分野でご活躍中の研究者を講師としてお招きし、分かりやすく講義していただきます。
また、初日には、学生参加者を対象とした学生研究発表(1人10分程度)を行い、優秀発表者には表彰を行います。なお、本セミナーは、参加者と講師との交流を深めるために宿泊形式としています。多数の学生、若手研究者・技術者の参加をお待ちしております。

主 催
低温工学・超電導学会 東北・北海道支部
テーマ
超電導の基礎と最先端応用技術を学ぶ(1)
日 時
2014年9月4日(木)~5日(金):1泊2日
会 場
鶯宿温泉 赤い風車(雫石町鶯宿10-75-2)
参加費
学生13,000円、正会員18,000円、非会員23,000円
テキスト代および宿泊費(1泊2食、懇親会費)を含みます。
※参加費の振込方法は参加申込をしていただいた方に 別途ご連絡いたします。
プログラム
【1日目】9月28日(月)
 
13:30
13:40  
開会式
 
 
13:40
15:10  
講義「薄膜と磁束状態(仮題)」
野島 勉(東北大学)
 
15:10
15:30  
休憩
 
 
15:30
18:00  
学生研究発表 (1人あたり10分程度[質疑・応答含む])
 
18:00
19:00  
自由時間 (入浴等)
 
19:00
21:00  
夕食・懇親会
 
【2日目】9月29日(火)
 
7:00
8:30  
朝食
 
 
9:00
10:30  
講義「テラヘルツ発振について(仮題)」
掛谷 一弘(京都大学)
 
10:30
10:40  
休憩
 
 
10:40
12:10  
講義「超電導の鉄道技術応用(仮題)」
長嶋 賢(鉄道総合技術研究所)
 
12:10
12:20  
修了式
参加申込締切
2014年8月22日(金)
申込方法
E-mailにて、氏名、所属(学生の場合は学年と指導教員名)、連絡先、住所、電話番号、E-mailアドレスを、下記申込先(内藤)までご連絡下さい。
申込・問合せ先
岩手大学工学部 内藤 智之
TEL・FAX 019-621-6362  E-mail:tnaito@iwate-u.ac.jp
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