平成 22 年度 東北・北海道支部 第15回 超伝導・低温若手セミナー 支部だより
東北・北海道支部主催の第15回超伝導・低温若手セミナーが8月30日(月)~31日(火)の2日間にわたり開催された。本セミナーは企業の若手研究者や大学生など超伝導を学び始めた人たちに超伝導および低温工学の基礎を習得してもらうことを目的として毎回開かれているものである。15回を数える今回は、一昨年から掲げているテーマ「ここまで進んだ超伝導」の最終回として、北海道の洞爺湖温泉洞爺湖パークホテル天翔にて超伝導応用研究の第一線で御活躍中の先生方3名に講義をお願いして開催された。今夏は北海道も猛暑に見舞われていたため、殆ど本州と同様の暑い洞爺湖に、「こんなはずでは…」と驚かれた参加者も多かったと思われるが、大学関係者を中心に学生14名を含む27名の方にご参加いただき、活発な議論と親近感溢れる深い交流がなされた。
初日は渡辺和雄支部長の挨拶の後、講義に先駆けて恒例の学生研究発表が行われ、博士課程前期(修士)課程の13名の学生たちが自身の研究について発表をおこなった。質疑応答を含めて発表10分という限られた時間であったが研究の要点が凝縮されており、各発表において活発な議論が交わされた。
学生発表の後、はじめの講義として「超伝導トンネル接合素子を用いたテラヘルツイメージング」と題して独立行政法人・理化学研究所・基幹研究所・テラヘルツ光研究グループ・テラヘルツイメージング研究チームの大谷知行先生にご講演いただいた。テラヘルツ波とはどのようなものか、そしてそのセンシング技術について、分かり易く解説頂いた後で、超伝導トンネル接合(STJ)によるテラヘルツ波検出について、その原理から応用を含めた最先端の現状までお話していただいた。凝縮された内容の丁寧な解説によって、テラヘルツ波が社会に与えるインパクトと関連する超伝導技術の役割を理解することができた。
1日目の学生発表と講義の後は、夕食そして恒例の弩宴会へと続いたが、ナイトセッションとして学生代表に各研究室の紹介を行ってもらった。洞爺湖上での花火大会観賞を挟んで、研究室の研究内容はもちろん、日常やイベントや、なぜか牛の種付けの話題まで飛び出したが、各研究室の雰囲気がわかり、学生同士でも楽しめた様子であった。
2日目は、第二の講義として「テラヘルツ波振器およびその応用を目指した薄膜作成技術」と題して防衛大学電気情報学群電気電子工学科の内田貴司先生にご講義いただいた。最近テラヘルツ発振器として精力的に研究されている量子カスケードレーザならびに共鳴トンネルダイオード発振器から説き起こして、固有ジョセフソン接合発振素子を取り上げ、接合の基礎から応用に至まで詳しく説明していただいた。特に後半はBi2Sr2Ca2O8+δ(Bi-2212)バルク単結晶及び
薄膜の作成技術全般とそれを用いた固有ジョセフソン接合素子特性の現状について焦点を当てたお話しとなった。
最後の講義としては、岩手大学工学部電気電子・情報システム工学科の小林宏一郎先生に「SQUID磁束系の基礎と制御用エレクトロニクス」と題して、超高感度な磁気センサであるSQUIDの原理から、その測定対象である生体磁気についての詳細な解説、実際の測定における現状とその問題点などを伺いながら、超伝導エレクトロニクスがその分野で無二の存在になっている典型例を感じた。
講義終了後には渡辺支部長から受講学生全員に修了証書が手渡された。その後初日に行った学生研究発表の優秀発表者として、今年度は小田垣智也君(東北大学)、蔡泳君(東北大学)、本間拓也君(山形大学)の3名が表彰された。
今年度のセミナーにおいては、参加者全員が打ち解けた雰囲気で質疑が交わされ、学生にとっても良い修練の場となったようである。またセミナーテキストには、参加者が今後も読み返して学ぶことができるようにと、多数の参考文献が記載され、詳しく記述回折していただいた。講師の先生方にはお忙しい中講義資料を作成いただいたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げたい。
本若手セミナーは、来年度以降も東北・北海道の各地を会場として開催される予定であり、学生、若手研究者・技術者の皆様多数のご参加をお待ちしております。
渡辺和雄支部長の挨拶でセミナー開始(1日目) |
洞爺湖をバックにセミナー参加者全員で(2日目朝) |
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平成 22 年度 東北・北海道支部 第15回 超電導・低温若手セミナーのご案内
本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超伝導の基礎から、超伝導を用いた線材やデバイス、またそれらに関連する低温技術、超伝導の多方面への応用を理解することを目的に毎年開催されています。前々回からのシリーズ企画として「ここまで進んだ超伝導」をテーマに超伝導の特性について基礎から応用の最先端までを、それぞれの分野の一流研究者を講師に招いて分かりやすく講義をしていただきます。
また、初日には学生参加者を対象とした学生研究発表(1人5~10分程度)を行い、優秀発表者には表彰を行います。
本セミナーは、参加者と講師との交流を深めるために宿泊形式としています。多数の学生、若手研究者・技術者に参加をお願いし、一層深い議論と交流を期待します。
主 催 |
: | 低温工学協会 東北・北海道支部 |
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テーマ |
: | ここまで進んだ超伝導(3) |
日 時 |
: | 2010年8月30日(月) ~ 31日(火) 1泊2日 |
会 場 |
: | 洞爺湖温泉 洞爺湖パークホテル天翔(北海道虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉38番地) |
参加費 |
: | 学生会員¥15,000 正会員¥20,000 非会員¥30,000(テキスト代、宿泊(1泊2食)代を含む) |
払込方法 |
: | 参加申込をしていただいた方には別途ご連絡いたします。 |
プログラム |
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【1日目】8月30日(月) |
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14:00 |
〜 |
14:10 | 開会式 |
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14:10 |
〜 |
16:30 | 学生研究発表(プログラムは後日配布) |
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16:30 |
〜 |
17:00 | 休憩 |
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17:00 |
〜 |
18:30 | 講義1 |
大谷知行先生(理化学研究所テラヘルツ光研究グループ、東北大学大学院理学研究科) |
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19:00 |
〜 |
21:00 | 夕食・懇親会・研究室紹介 |
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【2日目】8月31日(火) |
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9:00 |
〜 |
10:30 | 講義2 |
内田貴司先生(防衛大電気情報学群電気電子工学科) |
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10:30 |
〜 |
11:00 | 休憩 |
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11:00 |
〜 |
12:30 | 講義3 |
小林宏一郎先生(岩手大学工学部電気電子・情報システム工学科) |
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12:30 | 〜 | 修了式、解散 |
参加申込締切 |
: | 2010年8月10日(火) |
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申込方法
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: | E-mail又はFaxにて、氏名・所属(学生の場合は学年と指導教員名)・連絡先住所・電話番号・E-mailアドレスを、下記申込先(松田)までご連絡下さい。 |
申込・問合せ先 |
: | 室蘭工業大学・もの創造系領域・情報電子工学系専攻 松田瑞史 〒050-8585 北海道室蘭市水元町27-1 Tel:0143-46-5550 Fax:0143-46-5501 E-mail:matsuda@mmm.muroran-it.ac.jp |