過去の若手セミナー

平成 20 年度 東北・北海道支部 第13回 超伝導・低温若手セミナー 支部だより

 東北・北海道支部主催の第13回超伝導・低温若手セミナー が9月19日(金)~20日(土)の2日間にわたり開催された。本セミナーは企業の若手研究者や大学生など超伝導を学び始めた人たちに超伝導および低温工学の基礎を習得してもらうことを目的として毎年開かれているものである。13回を数える今回は新テーマの一回目として「ここまで進んだ超伝導(1)ー交流ー」を掲げて、秋涼の秋田県角館 たざわこ芸術村 温泉ゆぽぽ にて交流研究の第一人者の先生方3名に講義をお願いした。今年度は開催期間が物理学会と重なるなど生憎の日程であったが、大学関係者を中心に学生12名を含む20名の方にご参加いただき、活発な議論と親近感溢れる深い交流がなされた。

 初日は濱島支部長の挨拶の後、講義に先駆けて 一昨年から始まった学生研究発表が行われた。秋田大学 林先生の進行によって学部生から博士課程まで12名の学生たちが自身の研究について発表をおこなった。発表10分という限られた時間であったが研究の要点が凝縮されており、各発表において学生および教員から活発な議論が交わされた。学生発表の後、はじめの講義として「超伝導体の電磁応答の基礎ー二流体モデルおよび臨界状態モデルによる電磁応答の解析ー」と題して産業技術総合研究所 エネルギー技術部門超電導技術グループ の馬渡康徳先生にご講義いただいた。超伝導の基礎から臨界状態モデルと2流体モデル、n値モデルについて凝縮された内容の丁寧な解説によって超伝導の電磁応答に関する基礎を一通り理解することができた。

 1日目の学生発表と講義の後には、たざわこ芸術村内で製造している地ビールを堪能し、ナイトセッションとして学生代表に研究室紹介を行ってもらった。各々の研究室の研究内容のみならず、イベントや雰囲気がわかり、学生同士でも楽しめた様子であった。その後の2次会も打ち解けた様子で話は尽きなかった。

 2日目は、第二の講義として「高温超伝導体の交流損失 -超伝導線から超伝導送電ケーブルまで-」と題して京都大学大学院工学研究科 雨宮尚之先生にご講義いただいた。超伝導体内の交流損失について、計算方法などの実践的なお話であった。学生たちは講義中に指名されて解答を求められるなど緊張した様子で、さらに講義終了時には課題が出されることで理解を深めたようであった。最後の講義として山形大学大学院理工学研究科 大嶋重利先生に「超伝導薄膜の高周波インピーダンスと高周波パッシブデバイスの基礎」と題して超伝導エレクトロニクスなどの応用についてお話いただいた。現状と、今後のプロジェクトなどを含めた、超伝導の ここまで と これから を考えるお話であった。なお2日目は部屋を替えて たざわこ芸術村内にある田沢湖ビールレストランの一室を会場として地ビール工場の雰囲気を感じつつ、窓からは初秋の木々を眺めることができる部屋での講義であった。

 講義終了後には濱島支部長から受講学生全員に修了証書が手渡された。その後一日目におこなった学生研究発表の優秀発表者として、今年度は難波雅史君(東北大学)、柴田健志(東北大学)、冨山秀貴君(山形大学) の3名が表彰された。

 今年度のセミナーは、参加者全員が打ち解けた雰囲気で活発な質疑が行われていた。特に参加学生の研究発表では多くの議論が交わされ、学生にとっても良い修練の場となったようである。さらに今年度のセミナーテキストは参加者が今後も読み返して学ぶことができるようにと、多数の参考文献が記載され、詳しく記述解説していただいた。講師の先生方にはお忙しい中 講義資料を作成いただき、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 本若手セミナーは来年度以降も新潟、北海道を会場として行う予定であり、学生、若手研究者・技術者の皆様 多数のご参加をお待ちしております。

(秋田県立大学 二村宗男)

 
 

平成 20 年度 東北・北海道支部 第13回 超電導・低温若手セミナーのご案内

 初日には学生参加者を対象とした学生研究発表(1人10分程度)を行い、優秀発表者には表彰を行います.本セミナーは、参加者と講師との交流を深めるために宿泊形式としています.多数の学生、若手研究者・技術者に参加をお願いし、一層深い議論と交流を期待します.

主 催
低温工学協会 東北・北海道支部
テーマ
ここまで進んだ超伝導(1) ー 交流 ー
日 時
2008年 9月 19日(金)~ 20日(土)1泊2日
会 場
たざわこ芸術村 温泉ゆぽぽ
〒014-1192 秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430 TEL. 0187-44-3333
JR秋田新幹線 角館駅から車で7分(無料シャトルバス:駅 ⇔ ゆぽぽ ⇔ 武家屋敷)
アクセスの詳細・シャトルバス時刻表は URL: http://www.warabi.or.jp/map/ をご覧ください
参加費
学生会員:15,000円、正会員:20,000円、非会員:30,000円 テキスト代、宿泊(1泊2食)代 を含む
プログラム
【1日目】9月19日(水)
 
14:00
14:10  
開会式
 
 
14:10
16:00  
学生研究発表
 
16:00
16:30  
休憩
 
 
16:30
18:00  
「超伝導体の電磁応答の基礎」
馬渡康徳(産総研)
 
19:00
21:00  
夕食・交流会・研究室紹介
 
【2日目】9月20日(木)
 
9:00
10:30  
「超伝導の交流損失 ー超伝導線から超伝導機器までー」
雨宮尚之(京都大)
 
10:30
11:00  
休憩
 
 
11:00
12:30  
「超伝導薄膜の高周波インピーダンスと高周波パッシブデバイスの基礎」
大嶋重利(山形大)
  12:30    
修了式、解散
申込締切
2008年8月8(金)
申込方法
E-mailまたはFAX にて、氏名,所属(学生の場合は学年と指導教員名)、連絡先住所、電話番号、E-mailアドレスを下記申込先 二村宛にご連絡の上、別途 参加費をお振込ください
問合せ先
秋田県立大学 システム科学技術学部 二村宗男
Tel:0184-27-2112 Fax:0184-27-2188
E-mail:futamura@akita-pu.ac.jp
振込先
秋田銀行 本荘支店 普通口座3053 低温工学 北支部セミナー
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