過去の若手セミナー

平成 19 年度 東北・北海道支部 第12回 超伝導・低温若手セミナー 支部だより

 2007年度東北・北海道支部主催第12回超電導・低温若手セミナーが、山形県川西町の浴浴センター「まどか」において8月20日(月)、21日(火)の2日間開催されました。本セミナーは、超電導の基礎から超電導体を用いたデバィスや線材およびそれらに関する低温技術・超電導の応用技術などを理解・修得してもらうことを目的として、学生や大学・企業の若手研究者・技術者を対象に、毎年開催されていますが、今年も大学院の学生の参加が主でした。今回のテーマは「新たな展開のための超電導講座 (3)」で「超電導の固体化学・材料機能制御、超電導大型応用装置の開発現状およびSQUIDを用いた心磁計測システムの開発」について、それぞれの分野の第一人者を講師に招いて、分かりやすく講義をしていただきました。一口に超電導といっても、そのバラエティーに富んだ物性やどの物性を利用した応用を考えるかなどによって、いろいろな研究があります。今回もバラエティーに富んだ内容となり、参加した学生や研究者の皆さんにとっては、普段あまり聞くことのできなかった話や、自分の研究の意義の再確認、さらには先端で活躍する研究者の人柄にふれることができ、今後の研究遂行に役立てたのではないかと思います。

 20日午後からスタートしたセミナー初日はまず、昨年度からの試みである、学生研究発表会を行いました。発表8分、質疑応答2分で11名の学生が自身の研究発表を行いました。様々な分野にわたる熱心な発表ばかりで、学生同士も刺激を受けたのではと思います。

 学生研究発表会終了後、「高温超伝導材料における固体化学と材料機能制御」と題して、東京大学大学院工学系研究科の下山淳一先生から、高温超電導体の特徴的な構造や酸素を含めた組成制御の重要性、更に最近注目されているY123線材について、熱い思いを学生に語っていただきました。

 夕食後ナイトセッションとして、参加している研究室の若手の先生方に自身の研究や研究室の紹介をしていただきました。研究成果だけでなく、他研究室の日頃の雰囲気も知るいい交流の場になったと思います。

 翌21日には「超電導大型応用装置の開発現状」と題して、(株)東芝電力システム社の小野通隆氏に大型超電導マグネットの設計や設計に関する問題点、大型マグネットの応用について講義していただきました。続いて、(株)日立製作所中央研究所の神鳥明彦氏から「SQUIDによる生体磁気計測システムの開発」と題して、SQUIDの利点や応用について講義をしていただきました。病院に中々設置されないようで、新しい技術を世に出す難しさを力説されていましたが、技術立国を目指す日本としては、一寸寂しい状況です。

 最後に浜島副支部長より受講者全員に修了証書が手渡され、セミナーは無事に終了しました。また、今年も学生研究発表会の優秀発表者を表彰しました。今回の受賞者は、  

東北大学・飯沼直弥君、東北大学・三井好古君、山形大学・太田茂浩君、東北工業大学・冨山秀貴君の4名でした。

 毎年若手セミナーは3日間の合宿形式で行っておりましたが、できるだけ多くの学生が参加できるように、2日間に短縮しましたが、かえって内容の濃いセミナーとなったような気がします。会場となった浴浴センター「まどか」は米沢市に程近い川西町にある、食塩泉(低張性弱アルカリ性低温泉)の天然温泉と宿泊研修棟も兼ね備えた施設です。天気も上々で講師の先生がたも含め参加者全員、温泉を楽しむことが出来ました。また、すぐ前には川西ダリア園もあり、美しいダリアを楽しむこともでき、銘酒「樽平・住吉」も楽しむことができました。

 今回のセミナーではそれぞれの講義に対し、学生から色々な質問が出て、熱気を感じました。今後の超電導分野の飛躍が楽しみになりました。また、日頃気軽に話す機会のない、他大学の学生や先生方と交流ができるのも宿泊形式をとっている本セミナーの利点です。更に、夕食では数々の名酒や新酒がテーブルに並び、地方で行う醍醐味を実感できたものと思います。講師の先生方も交えたナイトセッションも盛り上がりました。講師の先生方には、お忙しい中テキストを事前に準備いただき、また長時間の講義だけでなく、ナイトセッションまでご参加の上、得がたいお話をしていただき、改めてお礼申し上げます。本支部主催のセミナーは、来年以降も新たな企画で実施される予定ですので、新しく超電導や低温について学びたい方、異分野の研究者・技術者と交流をしてみたい方、多数のご参加をお待ちしております。

(山形大学 大嶋重利)

 
 

平成 19 年度 東北・北海道支部 第12回 超電導・低温若手セミナーのご案内

 本セミナーは大学や企業の若手研究者や学生を対象に、超電導の基礎から、超電導体を用いた線材やデバイス、またそれらに関連する低温技術、超電導の多方面への応用を理解することを目的に毎年開催されています。今回は超電導の固体化学・材料機能制御、超電導大型応用装置の開発現状およびSQUIDを用いた心磁計測システムの開発について、それぞれの分野の一流研究者を講師に招いて、分かりやすく講義をしていただきます。
 またセミナーは、参加者と講師との交流を深めるために宿泊形式としました。多数の学生、若手研究者・技術者に参加をお願いし、一層深い議論や交流を期待します。

主 催
低温工学協会 東北・北海道支部
テーマ
新たな展開のための超電導講座(3)
日 時
平成19年8月20日(月)~ 8月21日(火)(1泊2日)
会 場
川西温泉浴浴(よくよく)センターまどか (山形県職員共済組合委託保養施設)
〒999-0121 山形県川西町大字上小松5095番地36 (川西ダリヤ園よこ)
Tel: 0238-42-4126,  Fax:0238-42-4100
参加費
学生会員:15,000円、正会員:20,000円、非会員:30,000円 (宿泊費、テキスト代を含む)
プログラム
【1日目】8月20日(月)
 
14:00
14:10
 
開会式
 
 
14:10
16:00
 
学生研究発表会、研究室紹介
 
16:00
16:30
 
休憩
 
 
16:30
18:00
 
「高温超伝導材料における固体化学と材料機能制御」
下山淳一[東京大学大学院工学系研究科]
 
19:00
21:00
 
夕食・懇親会
 
21:00
 
自由行動、フリーディスカッション
 
【2日目】8月21日(火)
 
7:00
9:00
 
朝食、自由行動
 
9:00
10:30
 
「超電導大型応用装置の開発現状」
小野通隆[(株)東芝 電力システム社]
 
10:30
11:00
 
休憩
 
 
11:00
12:30
 
「SQUIDによる生体磁気計測システムの開発」
神鳥明彦[(株)日立製作所 中央研究所]
  12:30
 
修了式、解散
申込締切
2007年7月31日(火)
申込方法
参加希望者は別紙申込票に記入し、山形大学・大嶋宛にメールで申し込んで下さい。
申込用紙はこちらからダウンロードできます
問合せ先
山形大学大学院/ 大嶋重利 ohshima@yz.yamagata-u.ac.jp
TEL/FAX 0238-26-3286/26-3293
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