過去の市民講演会

東北・北海道支部 だより(2011年度市民講演会)

 2011年度東北・北海道支部市民講演会が2011年11月5日(土)にJR秋田駅直結 秋田市民交流プラザ(アルヴェ)にて開催された。本講演会は超電導と低温に関する技術を広く一般の方々および中高生・大学生に知っていただくために東北・北海道支部が毎年開催しているものである。今年度は「環境対応と高速化の次世代輸送技術」と題して2件の講演を行った。
 渡辺支部長の挨拶の後、1件目の講演は広い意味での“低温”に関連した地元の研究として、「寒冷地におけるバイオディーゼル燃料の諸特性」と題し秋田県立大学 須知成光氏にご講演いただいた。石油代替燃料として近年各地で利用されつつあるバイオディーゼル燃料について秋田県の取り組みと、バイオ燃料の低温特性、トラックの実施試験走行などについてお話いただいた。廃食油バイオディーゼル燃料(軽油)との粘度の違いに加えて東北秋田の寒冷気候に対応するためにヒータ内蔵の上、断熱材で梱包した特殊な燃料タンクの搭載など様々な工夫によって可能なこと、しかしながら、廃食油バイオディーゼルに完全に置き換わるものではないことなどが話された。世界的に化石燃料から環境エネルギーへのシフトが進められており、エコロジーや再利用といった言葉もよく聞かれるが、化石燃料からの完全な脱却は言葉で言うほど簡単ではないことを感じた。
 2件目の講演は、一般の方に最も知られているであろう極低温応用技術として超電導リニアを取り上げた。「リニアモーターカーと超電導技術」と題して鉄道総合研究所 浮上式鉄道技術研究部 岩松勝氏にご講演いただいた。JR東海の東京ー名古屋間 リニア中央新幹線の整備計画が決定されたところであり、浮上と駆動の原理から消費エネルギーや環境への影響まで多くの方が感心を寄せるお話しであった。今後ますます厳しく求められるであろう二酸化炭素排出制限やエネルギーの効率利用を考えると、現在の航空機に置き換わる移動手段となる超電導リニアは早期開通が望まれるものであると再認識した。
 参加者は計21名で一般の参加では高校教員の方が多かった。低温をはじめとした幅広い科学技術、産業応用技術への知識と理解を深め、工学への興味を育むという本事業の目的から、中高生・大学生の多くの参加を期待していたが残念ながら叶わなかった。本学会の知見と人的資源を活かして、低温をはじめとした様々な技術を一般の方へ広め、青少年の理工系への興味を引きつける事業は公益法人として重要であり、今後さらに多くの方にご参加いただけるようにする必要を感じた。

(秋田県立大学 二村宗男)


2011年度 市民講演会のご案内

 低温現象や超電導技術は,日常生活においてはまだまだ馴染みの薄いものです。
 2011年度東北・北海道支部市民講演会は低温に関する“輸送”をキーワードとして,今後のエネルギーシフトで注目されるバイオディーゼル燃料と,開通に向けて注目されているリニアモーターカーの講演を開催いたします。お気軽にご参加ください。

『市民講演会』

テーマ
環境対応と高速化の次世代輸送技術
日 時
2011年11月5日(土)
会 場
秋田市民交流プラザALVE(アルヴェ)4階市民活動センター洋室C
秋田市東通仲町4番1号 JR秋田駅東口直結徒歩3分
参加費
無料
問合先
秋田県立大学システム科学技術学部 二村宗男
〒015-0055 秋田県由利本荘市土谷字海老ノ口84-4
E-mail:futamura@akita-pu.ac.jp TEL:0184-27-2112
プログラム
  13:40
支部長 開会挨拶
渡辺和雄(東北大学)
  13:45
講演1 「寒冷地におけるバイオディーゼル燃料の諸特性」
須知成光(秋田県立大学 システム科学技術学部)
  14:50
講演2 「リニアモーターカーと超電導技術」
岩松 勝(鉄道総研 浮上式鉄道技術研究部)
  15:50  
終了予定
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