東北・北海道支部 だより(2008年度市民講演会)
東北・北海道支部の2008年度市民講演会は、11月8日(土)午後に岩手大学図書館の多目的学習室で開催されました。盛岡での開催は2002年に続き2回目です。今回の講演会のテーマは「21世紀の環境・医療・食糧問題の解決のためにー"極低温"と"寒冷"からのアプローチー」として、"極低温"と"寒冷"をキーワードに日常生活では馴染みの少ない話題を2人の先生にお話しいただきました。
最初に、大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻の西嶋茂宏教授に「超伝導を用いた環境浄化とドラッグデリバリーシステムへの応用」と題して講演をいただきました。超伝導が発生する強い磁場を用いて、様々な応用が考えられていますが、その中で水質の浄化などの環境分野や、薬を必要な場所に必要な量だけ搬送するドラッグデリバリーシステムなどの医療分野への超伝導利用の試みと、将来の超伝導応用の展望について面白いお話しをしていただきました。
次に、岩手大学農学部附属寒冷バイオシステム研究センターの伊藤菊一教授に「寒冷環境におけるザゼンソウの発熱現象とその応用」と題して講演をいただきました。仏像の背光に似た形の仏炎苞の重なりが、僧侶が座禅を組む姿に見えることが名前の由来とされるザゼンソウは、肉穂花序と呼ばれる花の密集した器官が開花時に積極的に発熱し、その体温を20℃内外に維持する能力を持っています。現在岩手大学で行われているザゼンソウ研究の進展と、将来の食糧問題の解決等への可能性についてわかりやすく説明していただきました。低温工学には馴染みの少ない農学分野の話かと思いましたが、ザゼンソウの体温調節のメカニズム解明には工学的なアプローチも必要となっており、伊藤先生のテーマの設定や研究のアプローチ方法など、低温工学会員にも非常にためになる講演でした。
一般の参加者は高校生3名、大学生10名を含めて18名で、北支部役員、会員を併せて全体で約30名の参加者でした。県内の全高校、盛岡市内の全ての公民館や活動センターへポスターの掲示をお願いし、さらに地元紙とNHKへも講演会の記事の掲載をお願い宣伝しましたが(報道されたかどうかは不明)、なかなか一般市民にも来てもらうのは難しいと感じました。次回に開催するときは何か新手を考えなければと思いました。
2008年度 市民講演会のご案内
2008年度 東北・北海道支部の市民講演会を下記の要項にて開催致しますので、奮ってご参加くださいますようご案内申し上げます。
『市民講演会』
テーマ | : | 21世紀の環境・医療・食料問題の解決のために ー”極低温”と”寒冷”からのアプローチー |
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日 時 | : | 2008年11月8日(土)14時 から 16時 |
会 場 | : | 岩手大学図書館2F(多目的学習室) 盛岡市上田3丁目18-8 |
参加費 | : | 無料 |
問合先 | : | 岩手大学工学部材料物性工学科 藤代博之 TEL:019-62-6363 |
プログラム |
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講演1「超伝導を用いた環境浄化とドラッグデリバリーシステムへの応用」 大阪大学工学研究科環境エネルギー工学専攻教授 西嶋 茂宏 氏 |
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講演2「寒冷環境におけるザゼンソウの発熱現象とその応用」 岩手大学農学部附属寒冷バイオシステム 研究センター教授 伊藤 菊一 氏 |